マンション売却コラム
借地権マンションは売れない?売却のポイント
公開・更新:2026年10月18日/監修:宅地建物取引士 シュース健人(大阪府 第118737号)
土地を借りて建てられた「借地権マンション」は、所有権のマンションに比べて売れにくいと言われます。ただ、借地権の種類や契約の内容を整理すれば、売却の道筋は立てられます。このページでは、借地マンションを売るときに確認すべき点と売り方を解説します。
借地権マンションとは
一般的な分譲マンションでは、建物の部屋(専有部分)と一緒に、土地の持分(敷地権)を所有します。これに対し借地権マンションは、土地は地主のもので、マンションの所有者は土地を借りる権利を持っている形です。
借地権マンションは、同じ立地の所有権マンションより価格が抑えられていることが多い一方、次のような負担や制約があります。
- 管理費・修繕積立金とは別に、地代(土地の賃料)がかかる
- 契約の内容によっては、売却などの際に地主の承諾や承諾料が必要になる
- 定期借地権の場合、期間満了で土地を返す前提になっている
この「土地を持っていない」点が、買主の不安や住宅ローンの組みにくさにつながり、売れにくいと言われる原因になっています。
借地権の種類で売りやすさが変わる
借地権には主に次の種類があります。まず登記簿や借地契約書で、ご自身のマンションがどれに当たるかを確認しましょう。
| 種類 | 主な特徴 |
|---|---|
| 旧法借地権 | 1992年8月の借地借家法施行より前に設定された借地権。旧借地法が適用され、更新により長く住み続けられる仕組み |
| 普通借地権 | 借地借家法による借地権。当初の存続期間は30年以上で、更新がある |
| 定期借地権(一般定期借地権) | 存続期間50年以上で、更新がなく、期間満了で更地にして返すのが原則 |
旧法借地権や普通借地権は、更新を前提にできるため、長く住む前提で検討する買主もいます。一方、定期借地権マンションは、残りの期間が短くなるほど価値が下がっていきます。残存期間が短い物件ほど、買主はローンの期間や将来の解体費用を気にするため、売れにくさが増します。
普通借地権・定期借地権のマンションが売れない理由
住宅ローンが組みにくい
土地を所有していないため、金融機関によっては借地権マンションへの融資に慎重だったり、借入期間が短くなったりします。買主がローンを使えないと、現金で買える人に限られ、買主の数が減ります。
地代の負担と将来の値上げ
地代は管理費等とは別の支払いです。毎月の住居費が増えるうえ、将来の地代改定に不安を持つ買主もいます。
地主の承諾が必要な場合がある
借地権を第三者に譲渡するには、原則として地主の承諾が必要です。マンションの場合、分譲時に承諾の扱いが契約で決められていることも多いですが、契約によっては譲渡承諾料がかかることもあります。手続きがはっきりしないと、買主や金融機関が不安を感じます。
定期借地権の期間満了
定期借地権マンションでは、期間満了時に建物を解体して土地を返すのが原則で、解体のための積立金が設定されていることもあります。残り期間が短いと、買主にとって使える年数が限られます。
売却前に確認したい書類と情報
借地マンションの売却では、所有権マンション以上に、契約内容をはっきりさせることが重要です。
- 借地契約書(土地賃貸借契約書):借地権の種類、存続期間、地代、譲渡時の承諾の要否と承諾料
- 登記事項証明書:借地権が登記されているか、権利関係
- 地代の支払い状況と改定の履歴
- 管理規約・長期修繕計画・総会議事録
- 定期借地権の場合は解体準備金などの積立状況
これらは宅地建物取引業法にもとづく重要事項説明で買主に説明される内容でもあります。管理会社や地主側の窓口(管理を任されている会社など)に早めに問い合わせ、売却時の手続きの流れを確認しておくと、買主が見つかってから慌てずに済みます。
借地権マンションの売り方と価格の考え方
借地権マンションの価格は、同じエリアの所有権マンションより低くなるのが一般的です。どの程度低くなるかは、借地権の種類、残存期間、地代の水準、立地などで大きく変わるため、一律の割合で考えるのは危険です。
仲介で売る
立地が良く、残存期間に余裕があれば、仲介で一般の買主を探せます。大阪市内の都心部など利便性の高い場所では、「所有権より割安に好立地に住める」ことを魅力と感じる買主もいます。地代を含めた月々の負担を示し、ローンを扱える金融機関の情報も含めて販売すると、検討しやすくなります。
買取で売る
残存期間が短い、ローンが付きにくい、早く手放したいといった場合は、買取業者に売る方法があります。業者は借地権の物件にも慣れていることがあり、手続きを任せやすいのが利点ですが、価格は仲介より低くなります。
地主に買い取ってもらう相談
地主が借地権を買い戻したいと考えている場合もあります。ただしマンションは区分所有のため、一戸建ての借地とは事情が異なり、実現するかはケースバイケースです。
借地権マンション売却の費用と税金
借地権マンションを売るときも、所有権マンションと同じように次のような費用がかかります。
- 仲介手数料:売買価格が400万円を超える場合、上限は「売買価格×3%+6万円」に消費税を加えた額です。
- 売買契約書に貼る印紙代
- 住宅ローンが残っている場合の抵当権抹消費用
- 契約によっては地主への譲渡承諾料
利益が出た場合は譲渡所得として税金がかかります。譲渡所得は「譲渡価額 −(取得費 + 譲渡費用)」で計算し、売った年の1月1日時点で所有期間が5年を超えていれば税率は20.315%、5年以下なら39.63%です。自分が住んでいたマンションであれば、借地権マンションでも要件を満たせば居住用財産の3,000万円特別控除を使える可能性があります。購入時の契約書が見つからず取得費が分からない場合は、売却価格の5%を取得費とする概算の方法もありますが、不利になることが多いため、書類はできるだけ探しておきましょう。
GEEZにできること
GEEZでは、借地契約書や管理資料を読み込み、借地権の種類・残存期間・地代を整理したうえで、仲介と買取のどちらが合うかをご提案します。仲介では売主様だけの立場で相場の上限寄りから売り出しを検討し、買取では複数の業者から価格を集めて比較します(状態により売り出し価格の6〜8割程度が目安、交渉を行うため仲介手数料がかかります)。賃貸に出す選択肢も含め、無料のオンライン査定でご相談いただけます。回答はメールのみで、営業電話はいたしません。
よくある質問
借地権マンションは本当に売れないのですか?
売れないわけではありません。旧法借地権や普通借地権で立地が良い物件は、仲介で買主が見つかることもあります。借地権の種類や残存期間、地代、承諾の要否を整理して買主に示すことが大切です。
売却に地主の承諾は必要ですか?
借地権の譲渡には原則として地主の承諾が必要です。マンションでは分譲時の契約で扱いが決まっていることが多いため、借地契約書で承諾の要否と承諾料を確認してください。
定期借地権マンションは期間満了が近いと売れませんか?
残存期間が短いほど買主が使える年数が減り、価格は下がりやすくなります。仲介で買主が見つかりにくい場合は、買取や賃貸活用も含めて比較しましょう。
参考にした資料
税金・法律の扱いは個別の事情で変わります。最終的な判断は税務署・税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
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