マンション売却コラム
離婚・ペアローン・共有名義のマンション売却
公開・更新:2026年10月18日/監修:宅地建物取引士 シュース健人(大阪府 第118737号)
離婚をきっかけにマンションをどうするかは、感情面だけでなく、住宅ローンや名義、税金が絡む難しい問題です。特にペアローンや共有名義の場合は、ふたりの合意がなければ売却できません。まずは査定で現在の価値を知り、選択肢を整理するところから始めましょう。
離婚時はまずマンションの査定から
離婚時の財産分与では、マンションの「今の価値」と「住宅ローンの残高」を比べることが出発点になります。査定額がローン残高を上回る(アンダーローン)なら、売却して残ったお金を分けることができます。下回る(オーバーローン)なら、売却しても借入が残るため、差額をどう負担するかを話し合う必要があります。
財産分与の話し合いでは、1社だけの査定額では相手が納得しないこともあります。根拠を示した査定書や、国土交通省の不動産情報ライブラリで確認できる近隣の成約価格など、客観的な資料をそろえておくと話し合いがスムーズです。
名義とローンの組み方を確認する
まず確認したいのは、登記簿上の所有者(名義)と、住宅ローンの債務者が誰かです。この2つは一致しているとは限りません。
| パターン | 名義(持分) | ローンの形 | 主な注意点 |
|---|---|---|---|
| 単独名義・単独ローン | 夫または妻のみ | 名義人のみが債務者 | 相手が連帯保証人になっている場合がある |
| ペアローン | ふたりの共有 | それぞれが別々に借入し、互いに連帯保証 | 片方が完済しても相手の借入の保証が残る |
| 連帯債務 | ふたりの共有 | 1本の借入をふたりで返す | どちらも全額について返済義務を負う |
登記簿は法務局で誰でも取得でき、ローンの内容は金銭消費貸借契約書や返済予定表で確認できます。
共有名義・ペアローンのマンションを売るには
共有名義のマンションを丸ごと売却するには、共有者全員の同意が必要です。離婚後に連絡が取りにくくなると手続きが進まなくなるため、できれば離婚前、少なくとも財産分与の協議の中で、売却するかどうかと売却代金の分け方を決めておくのが理想です。
自分の持分だけを売ることはできる?
法律上、自分の共有持分だけを第三者に売ることは可能です。しかし持分だけを買っても自由に住めないため、一般の買主はまず見つからず、買い手は専門の業者に限られ、価格も大きく下がるのが通常です。また、もとの配偶者との関係がさらにこじれる原因にもなりかねません。持分売却は最後の手段と考えましょう。
売却時の手続き
売買契約と決済には、原則として共有者全員の署名・押印、印鑑証明書、本人確認が必要です。どうしても顔を合わせたくない場合は、契約日をずらして別々に署名する、代理人を立てるなどの方法も検討できます。
住み続ける場合の名義変更とローンの問題
「子どもの学校の関係で妻と子が住み続け、夫がローンを払い続ける」といった取り決めはよくありますが、注意点があります。
- 住宅ローンは原則として債務者本人が住むことを前提としており、債務者が住まなくなることを金融機関に無断で続けると、契約上問題になる可能性があります。
- 名義を相手に変更(財産分与による所有権移転)しても、ローンの債務者は自動的には変わりません。債務者の変更や借り換えには金融機関の審査が必要です。
- 支払う側の収入が減ったり、支払いが滞ったりすると、住んでいる側が退去を迫られるリスクがあります。
住み続ける選択をする場合は、金融機関への相談と、取り決めを公正証書などの書面に残しておくことが大切です。
財産分与と税金の基本
離婚に伴う財産分与として不動産を相手に渡した場合、受け取った側には通常は贈与税がかかりません(分与が過大な場合などを除く)。一方、渡した側は「その時点の時価で譲渡した」とみなされ、値上がりしていれば譲渡所得税の対象になることがあります。
マンションを第三者に売却する場合は、住んでいた方であれば居住用財産の3,000万円特別控除を使える可能性があります。共有名義で夫婦ともに住んでいたなら、それぞれの持分について要件を満たせば、各自が控除を受けられます。ただし、配偶者など特別な関係にある人への譲渡には控除が使えないため、離婚前に夫婦間で持分をやり取りする場合は注意が必要です。
また、財産分与の請求には期限があります。従来は離婚から2年でしたが、2024年に成立した改正民法により、2026年4月1日以降に離婚した場合は5年に延びました(経過措置は法務省の案内で確認してください)。
売却を選ぶ場合の進め方
離婚に伴う売却は、通常の売却に比べて「誰が窓口になるか」「いつまでに売るか」が決まっていないことでつまずきがちです。次の順番で整理しておくと、途中で話がこじれにくくなります。
- 査定を受け、売却価格の目安とローン残高、手取り見込みを共有する
- 売り出し価格の下限(これ以下なら売らない価格)と、値下げの判断をする人を決める
- 売却代金からローン・諸費用を差し引いた残額の分け方を書面で決める
- 内覧対応や鍵の管理を誰が担うかを決める(住んでいる側が対応するのが一般的です)
- 引越しの時期と、引渡しまでの管理費・ローン返済の負担を決める
大阪市内のように通勤・通学の利便性が高いエリアでは、ファミリー向けマンションの需要が比較的安定している一方、郊外では売却に時間がかかることもあります。期限がある場合は、売り出しから一定期間で売れなければ買取に切り替える、といった方針もあらかじめ合意しておくと安心です。
オーバーローンで売れないときの考え方
売却額でローンを完済できない場合、差額を自己資金で用意できなければ、金融機関は抵当権の抹消に応じないため通常の売却はできません。選択肢としては、差額を預貯金や財産分与で調整する、売却を先送りして返済を進める、金融機関と相談のうえ任意売却を検討する、といった方法があります。任意売却は信用情報への影響もあるため、早めに専門家に相談しましょう。
GEEZにご相談いただく場合
マンション売却プロ(株式会社GEEZ)では、メールだけで完結する無料査定を行っており、営業電話はいたしません。離婚の話し合いで使える査定の根拠資料をお渡しし、お二人のどちらとも連絡を取る必要がある場合も、メールでのやり取りを中心に進められます。大阪・関西のマンションであれば、仲介で高値を目指す方法、期限優先で複数の買取業者から入札を集める方法(状態に応じて売り出し想定価格のおおむね6〜8割、交渉を行うため仲介手数料がかかります)、賃貸に出す方法を比較してご提案します。財産分与や税金の個別判断は、弁護士・税理士などの専門家にご確認ください。
よくある質問
離婚前にマンションの査定だけ受けても大丈夫ですか?
はい。査定は売却を約束するものではありません。財産分与の話し合いのために、現在の価値とローン残高を把握しておくのは有効です。
ペアローンのマンションは片方の同意なしで売れますか?
マンション全体の売却には共有者全員の同意が必要です。自分の持分だけの売却は法律上可能ですが、買い手が限られ価格も大きく下がります。
名義を妻に変えればローンも妻に移りますか?
いいえ。所有権の名義を変えても、住宅ローンの債務者は変わりません。債務者の変更や借り換えには金融機関の審査が必要です。
離婚でマンションを売ったとき3,000万円控除は使えますか?
住んでいた自宅を第三者に売る場合は、要件を満たせば使える可能性があり、共有なら持分ごとに各自が適用できます。配偶者など特別な関係にある人への譲渡には使えません。
参考にした資料
- 国税庁 タックスアンサー No.3302 マイホームを売ったときの特例
- 国税庁 タックスアンサー No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)
- 民法(e-Gov法令検索)
- 国土交通省 不動産情報ライブラリ
税金・法律の扱いは個別の事情で変わります。最終的な判断は税務署・税理士・弁護士などの専門家にご確認ください。
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